多読学習と語彙について

多読学習と語彙の関係について今回は考察してみました。

多読学習だと、necessaryとimportantの違いが分からない場合があるって本当ですか?

堀場学長
堀場学長

そうですね。あり得ると思います。でもそれってなんでか分かりますか?必ずしもそれがまずいとも言えないんですよ。

多読学習で英語を学んでいるとたまに、既存の英文解釈(和訳)型の日本教育を受けてきた身からすると、ちょっと疑問に思うような出来事に出くわします。

例えば、necessaryとimportantの違いが分からないんです。これらの単語、単語帳なんかで中学生のときに、necessary⇒必須の、important⇒重要な のように覚えますよね。

参考に、以下、ALCさんの英辞郎でどのように出てくるか記載しておきます。

こう見ると、この2つは”違う”と思いますよね。「必須の」と「重要な」ですから

米国で定評のあるLearner’s dictionaryであるThe Britanica Dictionary(旧 Merriam Webster Learner’s Dictionary)を使って調べてみると、第一義の説明として下記の様に出てきます

necessary: 1 [more necessary; most necessary] : so important that you must do it or have it : absolutely needed

important: 1. having serious meaning or worth / deserving or requiring serious attention

これから分かることは、necessaryって”important”なんですね。どんなimportantかというと”you must do it or have it”というさらに細かい定義がある。なので重要(important)の中でも、しなければ・持っていなければという意味でのimportantな訳です。

こう考えると、necessaryを重要なと中学校のテストで書いたら、「必須な」が正解ということで減点されそうですよね。でも、それって本当に英語を習得していく上で大事でしょうか?むしろこの赤を入れる先生は、この英語での定義を理解してそれをしているでしょうか?

確かに、日本の学校教育では減点の対象になる可能性が高いものの、むしろ、importantとnecessaryを一緒だと思ったり、違いがわからないのは英語を習得していく上でちっともおかしくないのではないでしょうか?逆に言うと、日本式の学習で勉強すると、大量の英語に触れていないためにこれが同じだということに気づきもしない。それに気づいていないのに、この2つを区別できることってどれほど意味があるでしょうか?

英語多読の魅力は、こういう語彙の感覚を大量に中で身に付けられることで、これってとても大切なことだと思うんです。英語を話す時に、いちいちこういうところを考えたら話せないですよね。だからこそ量をこなして体得していることって、共通する部分があることも知らずに区別できることよりも価値がある可能性もあると思います。

ちなみに、和訳にしばれるとnecessary⇒必須の、important⇒重要なとなりますが、そもそも、英語の単語と日本語の単語でカバー範囲が異なります。一対一で結びつくわけではないという意味です。

逆にmustとhave to はどちらも、〜しなければいけないで一緒ですが、これは使い方を気をつけないといけないです。mustは主観が入りより強く、have to は客観的になります。お母さんが子供にいうならどちらもあまり意味が変わりませんが、仕事で相手に伝えるときでは意味合いが変わります。日本語はそもそも主語が曖昧なので、この〜しなければならないの解像度を上げにくいんですね。このようにそもそも、日本語と英語は言語の特性の違いから1対1で紐付けできるわけではないんです。

このような紐付けを感覚的にできるようになるには、やっぱり多読でたくさん読んでいるとなんとな〜く分かるようになるというメリットがあります。

こういった語彙の解像度をあげていくというのは、特に多読学習で準2級を取得した後に大切になってきます。日本で教育を受ける限り不必要に減点されないようにこういった違いを和訳する練習は必要ですが、ここはあんまり気になさらずに、受験に困らない程度に指摘された時に直すくらいでいいのではないかと考えます。逆に、この違いを大切にしたい段階になってきたら、準2級を取っていればBritianica Dictionaryなんかを使いながら、何が違うのかを英英辞書で確認していくと、日本語を解することなく英語を英語で学んでいけると思います。