【英語教育の新常識】英語学習で今注目の多読の価値とメリットを徹底解説します

マジックキーでカリキュラムの中心に据えている多読学習についてまとめてみました。記事は少しディープなので概要をまとめておきます。

多読学習を自信を持っておすすめできる理由は3つ

1.英語だけではなく、本を読むというメタスキルが身につく

2.語学学習では、まずは質より量が大切

3.英語を英語で分かるメリットを享受できる

本をちゃんと読めるということは、国語でも、算数(文章)でも、英語でも大切ですよね。
このように、「スキルを習得するために必要なスキル」はメタスキルと呼ばれたりします。そして、新しい技術を習得する能力は、年齢よりも「スキルを獲得するために必要なスキル」、すなわち「メタスキル」に大きく依存するといわれています。つまり、早く(小学生時点で)読書力を身に付けた子は、そうでない子に比べて「学ぶ力」が高く将来の大きな差になりうるということです。

質より量!については、「1日15分読む習慣のある小学校1年生(1st grader)」と「そうでなかった子」の高校3年(Grade 12)時点での累積読書量の差は4倍(5.7 million vs 1.5 million words)もあるというデータも見つけることができます。
小さなころの読書量の差は、将来の読解力の大きな差になる可能性が示唆されています。
第2外国語(日本人にとっての英語)でも、簡単な本から英語で毎日15分読書をする習慣が小学校1年生から有ると高校3年生の時はどんな差になるのか?個人的にとても興味深いです。
また、準2級までのレベルでは英語はいろいろな意味でぶっちゃけ丸覚えしてしまうしかないという事実も背景にあります。

自転車を乗るときに自転車のバランスのとり方を意識して運転することはなく、ほぼ無意識でも運転できてしまう状態ですよね。
同じように英会話では、英語を英語で分かる、ぱっと英語が出てくるという状態になっている必要が有ると思います。
Oxford Reading Treeの中でもかなり初期のレベルで”Have a go”という表現が出てきます。”やってみる”よみたいな意味になります。
他にも、Have a lunchはランチを食べるですが、これもランチの(時間を)持つということもできるかもしれませんがHaveが食べるの意味があるのは日本語の感覚とは違いますよね。こんなことをいちいち考える必要がない状態でないと話せないってことです。

【なぜ、マジックキーは英語多読ベースなのか?】

学長堀場
学長堀場

マジックキーキッズアカデミー学長の堀場英雄です。

今日はなぜマジックキーキッズアカデミーでは子供向けの英語学習の基本カリキュラムに「英語多読」を採用することにしたのか?その理由についてお話したいと思います。

英語多読は、正直、効率だけを考えるとベストには見えませんし、一見すると非常に無駄が多いようにも見えます。

何よりも本を読むだけで英語ができるようになるって本当?

どうやって文法を解説されずに理解するの??って

普通思いますよね。

正直、私自身、本当に効果あるのかな?とはじめは思っていました。

そこで、我が子やスタッフさんたちの子どもたちで多読学習のプログラムを実証実験してまいりましたが、少なくとも経験則として、英語多読は初等英語教育にかなり効果的であり、英検3級(チャレンジで準2級)を小学生の間に無理なく取得するというゴールの達成に最適な学習方法の1つだということが分かってきました。

少なくとも、自分たちの子供では上手くいったということです。

多読学習を自信を持っておすすめできる理由は3つあると考えています。

1.英語だけではなく、本を読むというメタスキルが身につく

2.語学学習では、まずは質より量が大切

3.英語を英語で分かるメリットを教授できる

1つ1つのポイントについて後ほど解説していきます。

その前に、多読学習や英語を英語で学ぶことについて少し触れさせてください

(※お急ぎの方は、この部分は飛ばしていただいて下記3つのポイントに進んでいただいて問題ないです)

英語多読とは?というそもそもの話については、SSS多読のサイトがとても参考になります。こちらのサイトで触れられていますが、多読が語学学習に効果的なのは昔から言われていたことです。
その子にあった適切なレベルの本を簡単なものから徐々にレベルを上げていくことで英語力が伸びていくというものです。

SSS多読では100万語を読むという目標を立てています。仮に100wpm(100語彙を1分で読む)で読めるとすると100万語読むには1万分の時間(167時間)が必要ということになります。
これで、初学者から基本語彙600〜1200語レベルに進み、基礎力がついてくると解説されています。
このレベルは英検3級相当です。一日10分学習する場合、1年でお盆と正月は休むとして除外して年に50週、週5日(土日はお休み)とすると250日/年x10分/日=2500分/年なので4年で1万分(167時間)に到達できます。
小学校の間に英検3級相当に到達するには、自分にあったレベルの英語の本を少しずつ難しくしながら毎日10分ずつ読めば良いことになります。これは、小学校6年間の時間を有効に使えば十分に確保できる学習時間(読書時間)になります。

また英語を英語で学ぶということに関しても、Graded Direct Methodという学習法があり、絵で見る英語という書籍も出版されています。
著者は1930年代に英語を中国で教え、1940年代はハーバードで英語教授法の研究をしています。
どうやって英語を英語で学ぶんだろう?Graded(簡単なところから順々に)という点についてはこちらのビデオでイメージを持っていただけるかと思います。
このGradedというのはとても大切で、マジックキーキッズアカデミーでも採用しているOxford Reading ClubのアプリでOxford Reading Treeというシリーズで297冊、9段階のレベルのGraded Readerを使っています。
ものすごく簡単なところから、徐々に難易度を上げて英語を英語で学んでいくという学習法のイメージを持っていただけると幸いです

前置きが長くなりましたが、前述の3つのポイントについてそれぞれ解説していきたいと思います。

1.「本を読む」という”メタスキル”の修得

本をちゃんと読めるということは、国語でも、算数(文章)でも、英語でも大切ですよね。
このように、「スキルを習得するために必要なスキル」はメタスキルと呼ばれたりします。
そして、新しい技術を習得する能力は、年齢よりも「スキルを獲得するために必要なスキル」、すなわち「メタスキル」に大きく依存するといわれており、例えばこの記事でもその重要性が触れられています( 多くの若い人より圧倒的に成長速度の速いおっさんと絶望的に遅いおっさんの違い  )。
世の中の変化が早い人生100年時代においては、必ずリスキリングが必要になります。
何かを学ぶのに遅すぎるということはもちろんなく、いつはじめても良いですが、メタスキルがしっかりと早期(例えば大学卒業するまで)に身についているかどうかというのは、その後の人生に少しずつどんどん大きくなる雪だまのように「複利」で効いてくるのもまた事実です。
そのように考えておりますので、マジックキーキッズアカデミーは「英語を学ぶ」学校なのですが、英語学習を通じて「本を読む」スキルを身に着けているという意識を大切にしたいし、親御さんにもその観点を持っていただけたらと思っております。

「読書力を磨く」と捉えると、国語の勉強も英語の勉強も一緒で、小さい頃から本を楽しく読めるという学ぶ力を身に着けられるように学習環境を子どもたちのために整えてあげること(例えば本をたのしく読めるように動機づけしていく)が「学び方を学ぶ」ことにつながっていきます。


仮に、英語はちょっと早かったかなと、、、と途中でやめてしまった場合でも、「本を読む力」というメタスキルの1つが向上していれば、英語学習を通じて取り組んだことは全て無駄にはならないはずです。
つまり、本を100冊読んだ!という達成感を得られる方が、単語をいくつ覚えた!英文法を覚えたということよりも大切だと学習の優先順位や方向性がブレにくくなり、学習の適切な達成指標も明確になります。

読書力というのは、年齢の低い子供にとっては大切なメタスキルです。そして、本を読む力というのは、基本的に読書「量」で決まります。
小さな頃に本をたくさん読んでいた、または読んでもらっていたという子を思い浮かべてみてください。
こどもって好きな本があって同じ本を何度も何度も繰り返し読んでいたりするものですよね。
簡単(自分のレベルにあった)で、楽しく読める本(だからこを量をこなせる)をたくさん読むというのが大切なことだと推測しています。英語をもし仮に2年くらいで一時的にやめてしまってもその間にたくさん本は読んだぞ!!って達成感があれば、本を読むというメタスキルのレベルは確実に向上していると思います。

(ご参考)メタスキルを意識した学習やスキルの習得について

メタスキルを意識した学習は、今の時代の世界的なトレンドでもあります。
例えば、21世紀の4C (4C’s of 21st Century)は、Critical Thinking(検討力), Creative Thinking(問題解決力), Communication(伝える力), Collaboration(協働力)の4つです。
これはハーバードを超える難関とも言われる新興大学のミネルバ大学でもこの4つの大項目でスキルを学業の測定をしています。
算数の点数、国語の点数という科目の点数ではなくて、哲学を”テーマ”に考える時にどうクラスメートに働きかけ、どう検討力(Critical Thinking)を発揮、つまり示唆に富む意見の提示ができているかというメタスキルの測定がなされているのです。
なぜこのようなトレンドがあるかというと、変化の早い時代だからこそ、陳腐化しにくい思考力といったメタスキルの習得が大切で、そこを意識して習得していくことが大切になっていきているからだと。
つまり他のスキルにも使える(Far Transfertable)な「検討力(Critical Thinking)」があれば、R言語やPythonという言語が別のコンピューター言語に変わってしまっても学び直しが楽に効率よくなるということです。

2.まずは質より量が大切

最近、子供向けの英単語アプリを開発していて調べたことがあってちょっとびっくりしたことがあるんです。
英検4・5級で覚えておきたい動詞は100個ほどあるんですが、そのうち不規則変化する動詞っていくつあるか予想できますか?
実は、44個もあるんです。約半分が不規則変化するので、少なくともこのレベルでは丸覚えするしかないってことです。日本語は漢字など文字自体に意味のある表意文字で、英語は表音文字です。ですので、音が変わればアルファベットも全然違うものになります。buy-boughtとか。

アルファベットはひらがなやローマ字のように音を表す言語なのですが、例えばherとhereですが、これもh/e/rと3文字共通なのに片方はハー(her)、もう一方はヒア(here)と最後にeがつくだけで読み方が全く変わってしまいます。
ここに、なぜ??という理由は存在しません。このように少し見方を変えてみると基本的に非常に厳密なルールがあり曖昧さが少ないと言われる言語が英語なわけですが、ルールとパターンだけで身につくものではなく、特に初等英語教育の範囲はぶっちゃけまる覚えてしまったほうが早い?という部分も多くありそうなので、「習うより慣れろ」で量が大切になってきそうです。

そのような英語をどのように学ぶのか、日本の中学校での英語教育に目を向けてみると、基本的に明治時代に設計された時から変わっておらず、英文解釈に焦点があたっています。
つまり、四技能でいうとリーディングのみに学習の焦点があたっています。当時は、進んでいる外国の知識を習得するためには、読めれば良いからです。
その後は、受験の科目であるが故の採点のしやすさ、試験のしやすさが優先され、やっとここ10年ぐらいでリスニングも英語の科目として浸透してきた状況です。
ライティングやスピーキングは公教育ではまだまだという状況なのは皆様御存知の通りです。

そして英文解釈では、漢文の読み下しよろしく文章を解析していく感じになって単語の量、文法の解釈などどう解釈するか?という解釈するための補助ツール(解説書とテクニック)を覚えていくことが英語学習になってしまっていまいました。
例えば、昔の受験で非常に評判がよかった名著が英文読解の透視(※この本自体は英文解釈としてはすばらしいです)。それがどんな問題をはらんでいるのか?読む量が圧倒的に少ない日本の英語教育というような記事がいくつもみつかるのですが、中学校3年間で教科書に出てくる延べ語数はわずか5~6000語しかなく圧倒的に量がすくないという情報を見つけることができます。
今の4技能を求められている時代には、「英文解釈」だけでは足りないのですが、日本語で英文解釈のための補助ツール(文法の解説など)を習うことに忙しく、肝心の量が圧倒的に足りないのです。

前述の記事でも、日本の英語教育の英語に触れる量の少なさが記事の中でも課題として以下のように指摘されています

“アメリカの子どもは小学1年生になると、毎日短い本を1冊読む、あるいは20〜30分間の読書をする”

“小3の終わりまでに満足なリーディング力を身につけられなかった生徒は、中2になってもリーディング力が改善しない”

では量を読んでればいいのでしょうか?量をこなすとどんな効果があるんでしょうか?
こちら(The magic of 15 minutes: Reading practice and reading growth)にも掲載されている内容を読むと「1日15分読む習慣のある小学校1年生(1st grader)」と「そうでなかった子」の高校3年(Grade 12)時点での累積読書量の差は4倍(5.7 million vs 1.5 million words)もあるというデータも見つけることができます。
小さなころの読書量の差は、将来の読解力の大きな差になる可能性が示唆されています。第2外国語(日本人にとっての英語)でも、簡単な本から英語で毎日15分読書をする習慣が小学校1年生から有ると高校3年生の時はどんな差になるのか?個人的にとても興味深いです

今の時代はリーディング(英文解釈)だけではなく、リスニングも、スピーキングも、ライティングもすべて大切です。
英文解釈だけであればルール(いわゆる文法)を頭にたたきこんでいけばいいかもしれません。しかし四技能をバランス良く伸ばすには、量をこなすことが大切です。
例えばスピーキングの能力の基礎として、音読はとても大切です。小学校の国語の時間でも音読はたくさんしますよね。英語も外国語ですが国語ですので、学習法は基本的には同じはずです

本を楽しく読む、毎日15分読書の時間を取るという習慣を身につけるということができれば、かなり自然な形で英語力を身に着けていくことができると考えています。
英語は日本人にとってはものすごく時間を必要する外国語だからこそ細く長くコツコツやることが効果的だと考えています

日本の現在の中学校からははじまる英語の授業は授業自体も日本語で基本行われ、日本語での英文法の解説など、英語を理解するための補助輪に時間を使いすぎているという課題があります。
もちろん、ある程度論理的に考えられるようになっている中学生になってから、とにかく量です!丸覚えしましょう!というのはただの苦行になるので、このような英文解釈スタイルにするしかなかった部分はあるとは思います。

一方で、せっかく早い時期(女の子の場合は年中さん、男の子の場合は年長さんをおすすめしています)から英語の学習を少しずつはじめていくなら、年齢が低い子供なら誰でもできてしまう繰り返し何度も同じ本を飽きずに読めてしまうという特性、耳の感度の高さを利用しない手はありません
そして、洋書でも、コレくらいの年齢ではじめると本はとても簡単なレベルで母国語と著しい差がない状態ですので、子どもたちも楽しみながら、簡単なところから始められます。中学生からはじめると正直Graded Readerの一番始めのレベルは幼稚すぎて楽しんで読むことが難しくなってしまいます。(絵本を読むためではなく、英語をやるために洋書の絵本を読むという学習ゴール設定になる)多読は小さな子供の頃の方がより、純粋に本を読むということにちかく、効果的な可能性大です。

(ご参考)英語の成り立ちと語彙と初等英語(基礎3000語彙)-なぜ丸覚え!?

英語にはゲルマン語系の単語とラテン系の単語があり、Merriam Webster Learner’s Dictionary(現 Britannica Dictionary)Oxford Advanced Learner’s Dictionaryなどの英英辞書の定義語彙(10万語以上の英単語を説明するために辞書で使用されている英語を英語で説明するための基本単語)の基礎3000語彙はほとんどゲルマン語系です。
ラテン語系になってくると、語源なども使ってシステマチックに単語を覚えていくことができますが、英語初等教育部分はその割合が圧倒的に少ないんです。

例えば、Presidentという単語が下記のように分解して語源で理解できるのはラテン語系だからです

Pre- sid – ent と分けられますが、Preは前に、sidは座る、entは人やモノを表します。人の前に座っている人というのを会議室や講堂で思い浮かべると、Presidentの意味が想像できますよね

プレからpre-viewとか関連付けて覚えていくことが可能です。一方でゲルマン語系はこう言うふうになっていないので、片っ端から1つずつ丸覚えするしかありません。

3.英語を英語で分かるメリット

英語を英語で分かるメリットについて触れておきたいと思います。
多読による英語と同じで英語を英語で学ぼうとするとやはり大量に量をこなさないといけないのでそこにどこまで拘るかは正直まだ私自信答えがないです。
母国語と紐付けてしまって単語を覚えるほうが効率は良い部分もケースによっては十分ある気がします。

一方で、自転車を乗るときに自転車のバランスのとり方を意識して運転することはなく、ほぼ無意識でも運転できてしまう状態ですよね。
同じように英会話では、英語を英語で分かる、ぱっと英語が出てくるという状態になっている必要が有ると思います。Oxford Reading Treeの中でもかなり初期のレベルで”Have a go”という表現が出てきます。
”やってみる”よみたいな意味になります。他にも、Have a lunchはランチを食べるですが、これもランチの(時間を)持つということもできるかもしれませんがHaveが食べるの意味があるのは日本語の感覚とは違いますよね。
こんなことをいちいち考える必要がない状態でないと話せないってことです。 Have a penは日本語の持っていると同じ意味になります。このように、have=持っているとそれだけで一対一に覚えるのは必ずしも自然なことではなさそうです。

量をこなさないといけないのは回りくどいまたは無駄が多いと思われるかもしれませんが、前述の通り、今の時代の英語学習には4技能が求められています。
スピーキングは考えている時間はないので何度も練習してすぐに発話できるようになっている必要があります。
半自動運転で反射できるようになるためには量をこなしていないといけませんし、また、日本語を介することなく英語でダイレクトに発話する必要があります。
スピーキングまで含めて考えると英語を英語で、日本語を介さずにというところにメリットが出てくると思います。
前述の通り、母国語と1対1で結びつけるというのは、母国語という補助輪(補助ツール)を使って英語を学習しているともいえます。

I’m hot. とIt’s hot.の違いは結構大切で、I’m hotはコンテキストによっては、(性的に)ムラムラしているという意味になります。
It’s hotは(周りが)暑いです。これも解釈で理解することも可能ですが、英文に大量に触れていると感覚的に捉えられるようになりそういう感覚が身につくと実用英語としては効果はとても大きいです。

【おわりに】なぜ、今多読なのか?

多読学習は、量をこなすことが前提となった学習方法であり、一見すると無駄が多いようにも見えます。でもこの無駄を余裕や遊びそして豊かさと捉えると現在のリーディングだけでなく英語4技能を伸ばすことが必要な時代には見え方が変わってきます。

この量をこなすは無駄か?をメンバーと意見意見交換していた時の話ですが、

「無駄」ではなくて、「良質な英文の大量摂取」だと思います!実際、娘のスピーキングを聞いていても、整った英文を話すので、これも多読の効果だと感じています。もしオンラインでフリーカンバセーションを同じ年数受講していてもこうなっていなかったと思っています!という意見が出ました

別の観点から、昔から多読学習自体は効果があることは分かっていましたがなぜ今まで主流にはならなかったのか?考えてみました。
いくつか思い当たるのですが、1つは、時間的、金銭的な面で本を揃えるのが大変だということです。Graded Readerと呼ばれる書籍は結構お値段しますし、そもそもどの教材が良いのか?選ぶのもたくさんラインナップがある故に悩んでしまいそうです(ORTのトランクパックの例)。
そして、2つ目は、親の学習サポートの手間です。多読学習の効果を最大化するには、音声を聞き、声に出して読む音読も大切です。
ところが、はじめの頃ほど、どこでページをめくればいいのかついていけなくなってしまう可能性があり、親が隣でCDの再生に合わせて見ていてあげないといけないケースがほとんどです。
これにはかなりの手間と手厚いサポートが必要です。要するに、効果は高いが一部それを相殺してしまう手間が結構かかったというのが要因だと考えています。
しかし、音声の再生の課題も、音読の課題も、本の費用もタブレット上のアプリになることでほぼ解決してしまいました。これは非常に大きな変化点だと感じています。

20世紀は、「それって試験に出ないよ」ということはやらないというのが、難関資格の会計士試験や弁護士試験、難関大学合格のコツでした。
つまり四択のTOEICで点数を効率良く取りたいならスピーキングの練習をする必要はないということを分かっていないと時間の制約が強い中では受験という勝負に勝てないということです。
TOEICのスコアが昇格要件なら、スピーキングに時間をかければ同期との出世競争のハンデにすらなりかねません。

しかし、今後は間違いなく英語力というのは、英文解釈力ではなくなります。海外の大学、大学院に進学するためにも英語は4技能バランス良くなければなりません。
そして、基礎の3000語彙部分があれば、英英辞書が10万語をそれで定義しているわけですから、英語で何でも伝えられる状態になります。
母国語の語彙は、6歳までは年齢x年齢x100で近似できると言われています。3000語彙というのは、5〜6歳ということになります。
6歳の子供(保育園の年長さん)を思い浮かべると問題なく言葉で意思疎通を図れますよね。これは英検でいうと準2級相当ですが、このレベルの4技能をしっかりみにつけることが小学生の間にできれば、英語を英語で理解できるようになっているので、その後は中学生や高校生で夏休みに語学研修に1ヶ月行くなどで学習量を稼いでいく効率が大幅に変わります。
前述の1日15分の複利の効果を思い出してください。

初等英語教育で4技能をバランス良く身につけるには、どうすればいいか?量をこなさなければいけない、体験で学ばないといけない、であるならば本を読むという実践を通じて量をこなすのが最適解の1つになりうると考えております。
私自身、学び方の科学についてミネルバ大学の大学院でも学びましたが、今の時代には英語の多読学習は非常に理にかなった学習方法であると考え、カリキュラムの中心に据えております。

常に改善を続けることでいつの日か日本の子どもたちに最高の英語教育環境を整えてあげたいと考えております。

最後までお目通しいただきありがとうございました。ご意見、フィードバック、より良い学習法のご提案等ございましたらぜひご連絡いただけたら幸いです。