先日、日本英語検定協会主催のセミナー『英語教育改革のあゆみとこれから 〜子供達の未来のために〜』がオンラインで開催されました。(文部科学省後援)
著作権の関係で、英検協会からのデータなど、詳細については報告できませんが、登壇したお二人の先生のお話の中から、英語を学んでいるお子様やその保護者の方にとって非常に役立つ内容や話題がありましたので、簡易な形式でみなさまに報告します。
セミナー概要

太田先生(名古屋外国語大学教授・元文部科学省視学官)
- 日本人は英語に触れる機会が少なく、英語との接し方が間違っていた
- 日本語を介在させず、「曖昧さ」に耐えながら絵を頭の中に描いてゆく、その練習が必要
以下、太田先生がお話しされた内容を(必死に!)メモしたものをまとめました。内容に大きな齟齬はないものの、「お話しされたそのもの」ではありませんので、ご承知おきください。
・フィリピンエアラインに乗った際、「どうして日本人なのに英語が流暢なのか。」とたくさんのCAに尋ねられた経験があった。このことにより「日本人はどうして英語が上手に話せないのか」と改めて悔しい思いをした。
・日本の英語教育は、これまで「情報・考え・気持ち」を伝え合う授業をしてこなかった。またどんな先生に出会ったかにより、その後の英語力・英語に対する気持ちなどが左右されてしまう現実があった。
・シャドーイングやオーバーラッピングなどは「音の処理/perception」については訓練できるが、「意味の処理/cognition」までできない場合が多い
・「日本語を介在させないで、頭の中に絵を描いていく」には多読/extensive readingで練習するのが良い
・背景知識・経験と結びつけながら読むと「自動化」が可能となる
・「音読」は通常の状態の3倍以上感覚器官を使う
・英語学習は「脳トレ」。情報処理をする経験を増やす必要がある。”Here and now in the moment”という言葉がある。訳している、という時点でleft behindである。
・多くの文脈の中で情報を処理していく訓練が必要。
・4技能を伸ばすには時間がかかるもの。終わりがない。3ヶ月、半年などそんなに簡単ではない。
grit, will powerで手に入れられるものである
・失敗はチャンス。粘り強く英語とかかわるとそのうち好きになる。教室は動機づけの場所である
・ICTのおかげで、情報をとりに行くかどうかは自分次第になった。smart, wise decisionが必要。
太田先生のお言葉は、英語多読で英語学習を進めてきたお子様・パパ・ママが日頃から感じていることを見事に言語化してくださっているように思うのですが、いかがでしょう。
太田先生は、大学ではオールイングリッシュで講義や演習を行ってきたとのことです。
数多くの学生と関わってこられ、また実際に学生の英語力を圧倒的に伸ばしてこられたたくさんのご経験がおありになり、その言葉には実践に裏打ちされた説得力というものがありました。
中でも「日本語を介在させずに」情報を次々を処理していくためには、「音読」が効果的である、とのお言葉には、深く頷けるものがありました。
その「音読」について、太田先生のこれまでの実践などをご紹介していただけたら、さらにinformativeなセミナーになったことは間違いありません。(残念・・・)
また、「英語4技能を伸ばすには時間が必要で、3ヶ月、半年などという簡単なものではない」ということもおっしゃっていましたが、こちらにも大いに賛成しました。(半年で英検1級に合格できる人がいるのも事実ですが、それは元々十分な基礎力が身に付いている人だと言えるでしょうね。)
「それほど簡単なものではない」という太田先生の言葉で、自分は勇気づけられ、これからも英語学習・英語多読を続けていこう!という前向きな気持ちになることができました。
池田先生(愛知県立大学教授)
- 英検はステータスではなく、スモールステップで英語の学びを描いたその「一段」
- これからの子どもにとって、求められる英語力は「今」と異なるものになっていく
以下、池田先生がお話しされた内容を(必死に!)メモしたものをまとめました。内容に大きな齟齬はないものの、「お話しされたそのもの」ではありませんので、ご承知おきください。
・これからは、AIネイティブの子どもが登場する
・AIによってコミュニケーションの障壁が下がるからこそ、その技術を使いこなすためにも一定の英語力が必要ではないか
・AIによる弊害として「自分で考えることをしなくなる」「自分の力で取り組まなくなる」が挙げられる
・その弊害の解決策としては
「自分の頭で考える資質を作ること」
「批判的思考力を高めること」
「最終的な産出物は自分自身のものではなくてはならない、という意識を持つこと」
「コミュニケーションへの関心を高めること」 などが挙げられる
・学校においてAIは、「提案者」に留めて活用をする必要がある
・AIは「思考のパートナー」、段階的な導入が必要である
英検6級・7級導入の理由
・6・7級は「生涯にわたる英語学習の一環」であり、小学校での学習が進んだ段階で、自分の今の英語力が将来的に関わっていくことを意識させたいとの理由から設定
・また、学校だけではなく、もっと広く共有される基準で自分の英語力を把握する経験をさせたいという理由もある つまり、級が具体的な目標となり、自律的な学習を支えるsignpostとなる
・6級は「小学校高学年〜中学校入門期」、7級は「小学校中学年」を想定している
・英語学習の「初めの一歩」は、優しく背中を押して「できる」を感じさせてあげたいという思いも理由の一つ
池田先生によれば、
小学校での英語の学び=「音声により慣れ親しむ」「まとまりで表現に触れる」「意味がなんとなくわかる」「音声で慣れ親しんだ語句や表現を書き写す」ということのようです。
よく考えると、上記は英語多読をしているお子様はすでに実践されているのでは?と思いました。
そうであれば、日頃ORTで英語に親しんでいるMKキッズ同様、小学校での英語教育で「一定の成果」が上がっている??と考えて良さそうです。
しかしながら「成果」どころか「弊害」がある、と一部では多くの批判が寄せられているようです。
それはどうしてなのでしょう。
私はこう考えます。
小学校英語はその方向性は間違っていないものの、「圧倒的にその量が足りていない」ことも大きな理由の一つでは? ということです。
クラスサイズや指導者側の多忙さなど、課題がありすぎて、英語教育まで手が回らないのではないでしょうか。
もしそうであるなら、非常に残念なことであると思います。
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