講演会参加レポート〜翻訳と文化・映画字幕翻訳〜

英日翻訳関係で素晴らしい2つの講演会に出席してきました。今回は、そこで学んだことの概要や、著名な先生方が実際に話されたこと・実践されていることについてお知らせします。

『翻訳と文化の変容』@東洋英和女学院大学院

しょーこ
しょーこ

著作権がありますので、それぞれ詳細についてはお知らせできないのが残念・無念!しかしながら、大まかな概要や、先生方それぞれからのメッセージについてはシェアできると思います。(必死にメモしまくってきたぞー!)

概要

  • 文学作品は「複雑」で「多層的」なものであり、翻訳者のいとなみの中で日本語になる
  • 日本での「ローマ字表記」の歴史
  • 日本語はもともと「縦書き」であったものが、「横書き」が主流になってきた状況
  • LGBTQ、Feminism、BLM(Black Lives Matter)関連の言葉について、社会における変遷と翻訳での扱われ方
  • 翻訳における「和臭」「洋臭」のバランス
  • 一つの言語が国境を越えることの難しさ

先生方から

金原先生
金原先生

小説を「縦書き」で読みたい、という人が減ってきています。電子書籍ではなく、紙の書籍を選ぶ人も多いですね。

金原先生は、『和英語林集成』(1867/J.C Hepburn)を持参し、参加者に回覧してくださいました。(ヘボン式ローマ字のHepburn先生が編纂された和英辞典です。)

越前先生
越前先生

「和臭」と「洋臭」を行ったり来たり、葛藤するのが翻訳者の仕事です。

越前先生は、たくさんの翻訳の具体例を挙げ、参加者に考えてみるよう促してくださいました。

三辺先生
三辺先生

わたしはYA本(ヤング・アダルト)をたくさん訳してきました。多くの若い世代にもっと洋書や翻訳本を読んでいただきたいと思っています。

三辺先生は、「トランスジェンダー」などの言葉がどのように日本や世界で扱われ、どのようなYA作品に登場してきたかということについて詳細に教えてくださいました。

著作権の問題がありますので、詳しくお伝えできないのが残念すぎますが・・・高名な翻訳者の先生方にお目にかかり、直接お話を聞くことができただけでも、大感激です。

今回講演してくださったような優れた翻訳者の先生方のおかげで、私たちは海外文学に気軽に触れることができるんですから。こんな素晴らしい機会を与えてくださった、東洋英和女学院大学大学院さまに感謝しています。

しょーこ
しょーこ

金原先生、三辺先生が審査員をされているこちら「10代がえらぶ海外文学大賞」の冊子をいただきました。今年忙しすぎて参加できなかった越前先生も、来年度から参加されるそうです。

第1回目の受賞作品が決定しました!

翻訳本の役割、ますます大きくなってきそうです。

https://www.10daikaigaibungaku.com/

戸田奈津子さん特別講演会『外国語学習で繋がる私の夢』〜ハリウッド映画と字幕翻訳の極意〜 @慶應義塾大学日吉キャンパス

しょーこ
しょーこ

前方の席はすべて高校生の専用席だったのです・・・・この日ばかりは高校生になりたかった〜(それはムリってもんだ笑)

あの「戸田奈津子さん」が会場に登場した時には、鳥肌が!!

戸田さんは、白いジャケットをお召しになり、ゆっくりとした足取りで登壇されました。

講演の中で「私、もうすぐ90歳よ。」とおっしゃっていました。MKパパ・ママのおばあさまと同じくらいの年齢なのですね。(MKキッズなら、ひいおばあさま!?)

しかしながら、年齢をまったく感じさせないはっきりとした語り口で、長年映画字幕の第一線で活躍してこられた、本当に素敵な大先輩!という印象でした。

通訳業は引退したものの、映画翻訳業はまだまだ現役。何事も長く続かないダメな自分、大いに反省しました。

通訳業を引退したことをトム・クルーズさんにお伝えすると、とても残念がっていたとのことです。

概要

  • 学びを続けることの大切さを、若い世代に届けるための講演会である
  • 戸田さんは、これまで1500本以上の映画字幕を手がけてこられた
  • 一般社団法人 日本外国語教育推進機構(JACTFL)主催

https://www.jactfl.or.jp/?page_id=3366

講演会の後半には、実際に映画字幕をつけてみるワークショップもあり、会場の皆さん全員で取り組みました。映画字幕翻訳の難しさを実感・・・やっぱり戸田さんってすごいんだ!(もちろん著作権がありますので、お見せすることはできません。)

戸田さんから

数々のハリウッドスターとのお写真をスクリーンでシェアしながら、語ってくださいました。

戸田奈津子さん
戸田奈津子さん

はじめは通訳からスタートした。興味もなく、やりたくもなかったがやらざるを得ない状況だった。

トム・クルーズとは30年以上の付き合いである。見た目通り優しく、思いやりのある方。「いい方」という言葉しか思い浮かばない。

トムは映画の構想、シナリオ、キャスティング、ポスプロなどすべてに関わっており、まるで自分の子供を育てるかのように映画を作っていく。

トムは、自分の仕事に誇り、passionを持っている。ハリウッド映画において頂点を極めた人の凄さ。
「僕は映画そのものだ」という言葉がすべてを物語っている。

トム以外にも多くのハリウッドスターの裏話をお聞かせくださいました。そして次に、ご自身の歩まれた道について語ってくださいました。

戸田奈津子さん
戸田奈津子さん

自分はアナログだが、Kindleで本も読んでいる。アナログはゆっくりで豊かなものだと感じる。

「映画が好き」というところから自分の人生は始まったと思っている。

幼少時は戦後の混乱期であり、食べ物はない、もちろん娯楽などない。「動く絵」などは見たこともなかった。

「映画が好き」というところから、自然と映画について知りたいと思い、そこから言語というものに関心を持った。

中学校に入って、初めて英語を学んだ。

自分のやりたいことは、自然に目の前に用意されることはない。

自分で戦ってきた。デビューできるまで20年以上かかった。それまでは翻訳と通訳のアルバイトで繋いできた。

努力したからといって叶うわけではない。そんな甘い世界ではない。幸い叶っただけ。

すべて自分の責任、自分で決めて努力する。

やめようと思ったことは一度もない。

最後に、若い世代への熱いメッセージをいただきました。

戸田奈津子さん
戸田奈津子さん

日本語が大事。本を読まなきゃダメ。

本を読む。書かれたもの(文章)を読むこと。そして自分で文章を書くこと。

スマホはだめ。スマホの文はただのメッセージ。日本語の力はつかない。

若い方達は、前途洋々。目の前に世界は広がっている。

皆さんの先輩としてお願いする、それは・・・

きっちりと自分の好きなことをして、後で振り返った時に、いい人生だったと言えるようにしてほしい。

映画字幕翻訳の道を、自ら切り開いてきた戸田さんの言葉一つ一つが、本当に身に沁みました・・・ありがとうございました。

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